2023年3月13日月曜日

「現れ」と「公共」〜2023年の所信と近況〜

ほぼ年一の更新となっていますが、さまざまな制作・活動を経て、
自分がおこなっている全てを「映画」と呼べるような状態が整いつつあります。

ひとまず、このホームページ上にもいくらか情報はまとまっているのですが、
SNSや各種動向を、まとめサービス「lit.link」で整理しました。
https://lit.link/jimbo
今後もシンプルに、複雑多様な動向をまとめていきたいと思います。

題名にある「現れ」と「公共」について少し書きたいと思います。
映画監督は映画作品をつくる。当たり前すぎて異論はないかもしれません。
しかし、「本当にそれだけでいいのだろうか?」「実はその他にも"つくれている"ものがあるのではないか?」という仮説を、ここ数年で検証してきました。
そして、映画制作者の僕に関わる人たちの心の中に「一瞬の映画」「脳内映画」とでも言うべきものが立ち上がることが、この数年で実証できてきました。
制作の過程で、僕の関わる人々が自身の代替不可能性について自覚的になるということです。

当人たち固有の言語が引き出され、過去・現在・未来を眺める新たな観点を手に入れ、
しだいに「シーン」のようなものが心の中で認識され始める。
その気付きの瞬間は、例えば、映画・映像鑑賞等によって価値観の更新が行われた経験に近く、エンパワメントとも言える効果があります。

つまり、アウトプットは成果物の映像だけではなく、制作プロセスの随所に宿っているということです。
「撮影・上映なき映像」と名付けたその考え方は、既存の映像コンテンツの駆逐ではなく、
むしろ増強・進化を志向しています。

「撮影・上映無き映像」を経験する人々には「映画に全く興味がない」
「撮られるのが嫌だ」という、映画・映像マーケティングのターゲット層ではない人も
自ずと含まれ、そうした方々が「なぜだかわからないけど映画が観たい」「映画には興味ないけどあの映画監督とのやりとりは記憶に残っている」と考えるようになることも見込んでいます。
このようなまだ誰もしていない試みに賭けたいと、ここ数年で考えるようになりました。

そのため、「小さな公共」をつくって信条・無意識・記憶の「現れ」を誘発する、企業参画を中心とした一連の活動も、僕にとっては「映画」の範疇である(「映画以外」ではない)と自信を持って断言できます。

最後に、2018年から制作してきたイラン・シンガポールとの合作 "On the Zero Line"の動向です。
多くの方々の協力を得て、『オン・ザ・ゼロ・ライン 赤道の上で』というタイトルで2022年10月に福岡市内で開催されたAsian Film Jointで国内初公開をしました。
2024年に国内展開ができるように準備していますが、この展開も「現れ」と「公共」を意識した、誰も試していないような方法でおこなえればと考えています。
どうぞご期待ください!



2021年12月31日金曜日

2022年、色々と動きます

2021年を漢字1字で総括しますと、「通」でした。

通うこと、通じること、通じないこと、通い合うこと。

「通う」という点については、福岡・九州北部の様々な場所に、さほど具体的理由もなく直感的に足を運びました。

行く先々で
「多くの人にとってほぼ例外なく いまのところ映画というのは体外に存在するが、それが体内に存在するようにする」
「映画を上映せずに 映画を上映したのと同様の心理・精神的効果をもたらす」
など、よくわからないことばかり言っていましたが、たくさんの方が取り合ってくださいました。

2011年秋に旅行会社を退職して、翌年に映画をやり始める前までの数カ月間、「自分は映画をこれからやる」ということをアジア・ヨーロッパの行く先々で言い続けるという旅をしたことがありました。この1年はその旅の感覚に似ていました。

今年出た中でも最も面白かった小説の一冊に平野啓一郎の『本心』という作品があり、同氏は分人主義(一人の人間の中には、いくつもの人格があり その複数の人格の集合体が一人の人間であるということ)というスタンスを提唱していますが、今年は、映画の未来に楽観的な自分と悲観的な自分の板挟み(分人)の中にいました。家族との日常や幼稚園の送り迎えのひとときが、ふとしたら巻き込まれてしまう当惑の渦から遠ざけてくれていたと思います。

なお、2018年から制作してきたイラン・シンガポールとの合作長編 "On the Zero Line" は、来年ようやく動きが生じてくる見込みです。動きの大小はわかりませんが、とりあえず動きがあるということは確実に現時点でお伝えできます。

よい流れとなるように、日々精進していますが、作品を待ってくださっている皆さんにすこしでも早くお届けできるように最善を尽くしている最中ですので、来年もどうぞよろしくお願いします。



 

2020年4月21日火曜日

イラン・シンガポール合作長編『On the Zero Line』編集終盤 / 編集参加のドキュメンタリー『もったいないキッチン』2020年8月全国公開

2018年から製作しているイラン・シンガポール合作長編『On the Zero Line』ですが
イランの政治・経済事情に加えて、イランでのコロナウィルス流行などにより編集が何度か中断はしていたものの、編集の最終局面にたどりついています。

ポスターのデモ版も、こんな感じで製作している途中です。


2020年8月には、昨年6月からずっと編集し続けてきたドキュメンタリー『もったいないキッチン』が全国公開されます。


シネスイッチ銀座・アップリンク吉祥寺ほか、全国順次公開予定です!
詳細はホームページよりご確認ください。

2019年5月16日木曜日

イラン・シンガポール合作長編『On the Zero Line』、編集折り返し地点!

2019年5月初旬、2度目となるテヘラン(3度目のイラン)にて、昨年からイラン・シンガポールと合作で製作しています長編『On the Zero Line』の編集作業をしてきました。


今回はピクチャーロック(画のつなぎを確定させること)とサントラの打ち合わせが目標。
共同監督のMehrdad Ghafarzadeh監督や、作曲家のKiawaschさん、プロデューサーと真剣談義の日々でした。イランの巨匠たちからもアドバイスをもらえたりして、夢のような日々でした。
早くお届けしたい気持ちもありつつ、大事に、じっくりと編集作業を進めています。

2019年2月17日日曜日

長編『僕はもうすぐ十一歳になる。』、各地図書館でDVD導入していただいています

拙作『僕はもうすぐ十一歳になる。』(2014/75分)ですが、制作から5年経った今でもありがたいことに色々なところで興味を持ってくださる方がいて、どうすれば見れるのか問い合わせを頂きます。
ストリーミングはこちら
https://loadshow.jp/films/67
また、DVDを下記図書館で導入していただいています(今後も増えていくかと思うので随時アップいたします)
摂津市民図書館 / 前橋市立こども図書館 / 大田原市立大田原図書館 / 藤岡市立図書館 / 京都市右京中央図書館 / 神戸女子短期大学図書館 / 城西国際大学水田記念図書館 / 岩沼市民図書館 / 江東区立豊洲図書館 / 岡山県立図書館 / 吹田市立千里丘図書館 / 船橋北図書館 / 名取市図書館 / 姫路市立図書館安富分館 / 品川区立荏原図書館 / 広川町立図書館 / 那珂市立図書館 / 会津若松市立会津図書館 / 加賀市土山図書館 / 岡山市男女共同参画社会推進センター / 川口市立中央図書館 / 筑西市立中央図書館



2018年11月28日水曜日

東京フィルメックス / Talents Tokyo に参加しました

東京フィルメックス期間中のTalents Tokyoに参加し、ポスプロ中のイラン・シンガポール合作 "On the Zero Line"について公で初めて話しました。
一人だけポスプロ中で他の参加者はdevelopment中の企画を持ち寄っていましたが、僕も依然developするものがあるとコミュニケーションの中で感じることができました。








2018年10月26日金曜日

最新インタビュー記事

福岡に移住し2年半ほどになりますが、その経過を福岡移住計画HPで特集してもらいました。

https://fukuoka-ijyu.jp/2018/10/23/life-shift15/

記事にも書いてありますが、11月3日(土)、4日(日)に直方映画祭(福岡)が開催されます。
直方で昨年撮った短編『えんえんと、えんえんと』、
そして僕の初長編『僕はもうすぐ十一歳になる。』、
2本セットで11/3(土)15時よりBoutonで上映されます。
僕も上映に同席させてもらいます、ぜひお越しください!